『情熱の旅』
夕焼けに頼りなくのびる僕の影、芸術を頼りに歩んできた。
芸術なんて必要かい?
砂漠では、ピカソより一杯の水、シャガールより一個のおにぎり。。。
そんなこと僕にだってわかっているつもり。
しかし、芸術があったから、僕の生が今ここにある。
自身の足で旅する世界には限界がある。
しかし、自身が作った芸術にのっかって、芸術の翼でもって僕は旅をすることができた。
意外にも遠くまで。
意外にも高くまで。
そこには大きな宇宙がぽつんと広がっていた。
ただ広がっていた。
雄大なまでに。
残酷なまでに。
芸術家として、表現者としてもちうるすべての情熱をこの旅にかけてみろ。
土田康彦 2011夏 42歳の誕生日を前にして ヴェネチア